埼玉県川口市のリウマチ科・リウマチ専門医・リウマチ検査 早期発見の重要性

早期発見の重要性

早期診断の難しさ

早期診断の難しさ

従来より、関節リウマチを疑う患者さんには、リウマトイド因子(RF)という血液検査が行われてきました。関節リウマチの患者さんの血液検査において高い確率で検出されることから、診断基準の1項目としても用いられ、現在も大切な検査である事に違いはありません。しかし、健常の方の約5%にも陽性になることが知られており、逆になんと関節リウマチ患者の約30%はリウマトイド因子陰性なのです。
つまり「リウマチ反応が陰性だから関節リウマチではない」と判断してはいけないのです。ところが、このような誤った説明を受けてしまい、結果として診断が遅れ、進行してしまうケースがまだあります。

早期診断が遅れる第一の理由

早期診断が遅れる第一の理由として、関節リウマチには「この検査が陽性なら診断確定」といった決定的な検査がなく、経過、症状、所見、そして血液検査などを総合的に判断して診断しているからです。各々の医師によって診断のばらつきが出やすくなるのを防ぐために下記の診断基準が決めてあります。

ACR/EULAR関節リウマチ分類基準2010(岡田訳)
ACR/EULAR関節リウマチ分類基準2010(岡田訳)
腫脹または圧痛のある関節数 ※小関節 MCP、PIP、1stIP、2.5MTP、手首
中、大関節 肩、肘、膝、股、足首
OAとの鑑別のためDIP、1stCMC、1stMTPは除外
中、大関節の1ヵ所 0
中、大間接の2~10ヵ所 1
小関節の1~3ヵ所 2
最低1つの小関節を含む11ヵ所以上 5
血清反応 ※陽性基準は施設ごとの正常値を超える場合
低値陽性は正常上限から正常上限の3倍まで
高値陽性は正常値上限の3倍以上を超える場合
国際基準ユニットができれば変更予定
リウマトイド因子、抗CCP抗体の両方が陰性 0
リウマトイド因子、抗CCP抗体のいずれかが低値陽性 2
リウマトイド因子、抗CCP抗体のいずれかが高値陽性 3
罹患期間 ※評価時に腫脹または圧痛関節のうちで、患者が申告する罹患期間
6週未満 0
6週以上 1
炎症反応 ※陽性基準は施設ごとの正常値を超える場合
スコアリングには最低1つの血清反応
最低1つの炎症反応の測定が必要
CRP、ESRの両方が正常 0
CRP、もしくはESRのいずれかが異常高値 1
6点以上で関節リウマチ確定

早期診断が遅れる第二の理由

早期診断が遅れる第二の理由としては、リウマチ治療薬の特性が挙げられます。関節リウマチは自己免疫疾患であることから、治療薬として免疫を調節する、もしくは抑制する薬が使用されます。当然副作用の出現頻度も高く、できれば怖い薬を使いたくない、というのは医師、患者の共通した認識です。ですので、発症早期で診断もはっきりしない、キツイ薬は怖い、ということで正確な診断を行わず、消炎鎮痛剤だけで頑張ってしまっているケースがかなりあるからです。

消炎鎮痛剤(非ステロイド性)は関節リウマチの治療においては、あくまでも“サブ”の薬であり、極端に言えば痛みを“ごまかす”薬です。関節リウマチの治療では「痛みの緩和」と「関節機能の温存」が大切なのですが、消炎鎮痛剤は前者の役割しか果たせず、気がつけば関節が変形してしまっていた、ということにもなりかねません。

初期治療の大切さ

初期治療の大切さ

今から40年ほど前は全く病気の進行を止めることができず、数年で骨破壊が進み、その後どんどん関節変形が進んで寝たきりとなり、亡くなる患者さんが後を絶ちませんでした。関節リウマチは不治の病と考えられた時代のことです。

現在、抗リウマチ薬には免疫抑制薬や生物学的製剤など関節破壊を止めるだけでなく、修復する可能性のある治療まで出現し、寛解※(かんかい)や完全治癒まで目指せる時代になってきています。そんな中で、さらに重要なこととして、早期治療の重要性が明確になったのです。

※寛解(かんかい)
一度発病した病気が、治療などによって血液検査が正常化し、痛みや腫れなどの症状も改善し、日常生活が支障なく送れるようになるなど、全く健常者と同じような状態を維持できるようになることを「寛解(かんかい)」といいます。寛解状態を維持するために薬を必要とすることがあるために「完治」とは言えませんが、今まで関節リウマチはこの寛解に持ち込むことが極めて困難でした。最近は治療法の飛躍的進歩により寛解導入が可能になってきています。

Window of opportunity(ウインドウ・オブ・オポチュニティ)とは?

Window of opportunity(ウインドウ・オブ・オポチュニティ)とは?

アメリカリウマチ学会のガイドライン(治療指針)上でも「診断がついてから3か月以内」に、より有効性の高い抗リウマチ薬による治療を行うことを推奨しています。現在、発症2年以内の治療に重要な時期をWindow of opportunity(ウインドウ・オブ・オポチュニティ)(=治療効果の最も高い限られた時期)と呼んでおり、この時期により積極的に、そして徹底的に治療を行うことで、10年、20年先の関節予後がまったく違ってくることがわかってきたのです。

ところが、現実はリウマチ専門医に到達するまでに多くの医療機関を受診し時間を費やしたり、根拠のない民間療法に時間もお金も費やすうちにこの貴重な時期を逃してしまうケースが後を絶たないのです。ようやく専門医の診察室に入った時にはすでに関節破壊が進行している、そういう患者さんが本当に多いのです。ぜひこのWindow of opportunityという重要な概念を知っていただき、貴重な治療のチャンスを逃さないでいただきたいと思っています。

お気軽にリウマチ専門医を受診して下さい。

リウマチは、左右対称性にさまざまな関節に痛みが出てくる・・・
皆様はそんなイメージではないでしょうか。
確かに間違いではありません。しかし、そもそも最初から数か所の関節が必ず痛くなるのでしょうか。
また、痛くなければリウマチではないのでしょうか。
正直まったく区別はつかないと思います。
まず疑問に思ったら、リウマチ専門医の受診をお勧めします。
※リウマチ専門医は、日本リウマチ学会が認定する資格です。
日本リウマチ学会WEBサイト>>

最初の3か月が重要です!

リウマチは最初の3か月が重要といわれる時代です。
リウマチは関節の破壊が進行すると治療が難しいため、検査で適正な診断をいかに早く行うかがポイントです。
当院では1か月以内が勝負だと思っています。

痛みみや違和感を我慢している方は、迷わずリウマチ専門医を受診してください。
検査をして何もなければ、それだけで安心できます。
ご自身の不安を取り除くためにも、お気軽にご相談下さい。

リウマチ科と整形外科について

整形外科は、運動器官を構成するすべての組織である、骨、軟骨、筋、靭帯、神経などの疾病・外傷を対象とした診療を専門に行います。
リウマチ科は、主にリウマチや、膠原病、変形性関節症を中心に関節の病気やケガを専門に治療します。リウマチ学は、関節痛などを主な症状とする膠原病・リウマチ関連疾患を主に研究診療する、内科学から発展していった医学の一分野となります。

関節リウマチの初期症状が、関節の腫れ、痛み、朝起きた時、関節が動かしにくいなどのため、最初は整形外科を受診されるかたも多くいます。しかし、早期の段階ではリウマチと診断されないケースもあるのです。

リウマチは進行すると治療が難しいため、いかに早く検査で適正な診断を行うことがポイントです!少しでも心配な方は、ぜひお早めにリウマチ科を受診ください。

リウマチ専門医 かねこ内科リウマチ科クリニック